| 3.測定対象 |
|
3−1 製品選択 |
|
家電製品の全てについて測定することは困難であるため、一般に家庭で使用するものとして、
電磁調理器(IH 調理器)、電気掃除機等を始めとする代表的な製品を選定した。磁界測定器・測定方法および条件についてはIEC62233
(人のばく露に関する家庭用及び類似用途の電気機器の電磁場の測定方法)が平成17年(2005年)10月に制定されている。
また、IEC62233の対象機器には含まれないが、家庭で使われるデジタル家電、情報機器および照明器具も測定対象とした。
(測定対象製品は、表1に示す。)
この中で、使用者と機器の距離および動作条件は通常の使用環境に基づいて決定すべきとして、各機器に対しての測定距離、
測定方向、製品の動作条件が規定されている。この規格にて規定されている条件を基本に測定を行うこととした。
また、電気こたつ等日本特有の製品あるいは使われ方をする家電製品については、IEC62233規格に記載されている類似製品を参考に、
この規格で採用されている通常の使用距離(機器正面を基準)の原則、 |
|
1) |
密着して使用する機器は密着側を0p |
|
2) |
使用者が操作しながら使用する機器は操作方向、また人が近づくことができる方向で30p |
|
により測定距離の設定を行うこととした。
デジタル家電および情報機器に関しては、現状、人体ばく露を想定した国際標準化された測定方法が確立していないので、
不要電磁輻射(EMI)の試験で規定された機器の動作条件において、 |
|
1) |
操作パネルやキーボード面は0p |
|
2) |
通常使用状態では手で触れたり、近づかない方向に対しては30p |
|
のばく露距離を想定して測定距離の設定を行うこととした。なお、現在IECでは、デジタル家電および
情報機器等を含んだ小電力機器を対象とした測定法の規格について審議を開始した。さらに、デジタル家電および情報機器に特化した
規格が発案されようとしている。この時の測定距離は、IEC62233と同様になるであろう。
照明器具に関しても、現状では人体ばく露を想定した国際標準化された測定方法が確立していない。
このため、照明器具の動作条件としては連続点灯状態で、調光できるものは最も漏洩磁束が多い状態と想定される全光状態(フル点灯)
とすることとし、IEC62233の規定を準用して全周囲30pのばく露距離を想定して測定距離を設定した。現在、蛍光灯器具はインバータ化が進展し、
特に事務所用蛍光灯器具では銅鉄式(銅鉄形安定器を使用したもの)の製品は姿を消しつつあるが、既設の蛍光灯器具としては
まだ多数使用されていることから測定調査対象に加えた。住宅用蛍光灯器具についても同様の考えに基づき、銅鉄式の製品も加えた。 |
[表1]測定対象製品
製品名 |
種類 |
備考 |
機器数 |
IH炊飯器 |
1L、1升炊き |
100V/1200W〜1400W
(60Hzで試験) |
7 |
IH調理器 |
ビルトイン、卓上 |
100V/1200W〜1400W、200V/5800W・4800W
(60Hzで試験) |
13 |
空気清浄機 |
24畳用、26畳用、イオン |
100V (60Hzで試験) |
2 |
シェーバー |
充電・交流式 |
100V〜240V
(100V 60Hzで試験) |
2 |
食器洗い乾燥機 |
ビルトイン、卓上 |
100V (60Hzで試験) |
2 |
電気カーペット |
2面、3面切り替え |
100V/510W〜540W
(60Hzで試験) |
3 |
電気こたつ |
75×75×36p |
100V/500W (60Hzで試験) |
2 |
電気洗濯機 |
全自動・洗濯乾燥機、縦型7kg、8kg |
100V (60Hzで試験) |
3 |
電気掃除機 |
床移動型 |
吸込仕事率620W〜650W
100V (60Hzで試験) |
2 |
電気ポット |
容量2.2L |
100V (60Hzで試験) |
2 |
電気マッサージ器 |
手持ち型 |
100V (60Hzで試験) |
2 |
電気毛布 |
敷毛布140×80p、140×85p |
100V (60Hzで試験) |
2 |
電気冷蔵庫 |
430L・450L |
100V (60Hzで試験) |
2 |
電子レンジ |
インバータ、鉄トランス、16L〜33L |
100V (60Hzで試験) |
6 |
ヘアドライヤー |
1200W、イオン |
100V (60Hzで試験) |
2 |
ルームエアコン |
8〜12畳用、12畳相当 |
100V (60Hzで試験) |
2 |
HDD/DVDレコーダ |
地上・BS・110度CSデジタル |
100V (60Hzで試験) |
2 |
CRTカラーテレビジョン |
14型、21型、CRT方式 |
100V (60Hzで試験) |
2 |
液晶カラーテレビジョン |
20V型、32V型、液晶方式、地上・BS・110度CSデジタルハイビジョン |
100V (60Hzで試験) |
2 |
プラズマカラーテレビジョン |
42V型、50V型、プラズマ方式、地上・BS・110度CSデジタルハオビジョン |
100V (60Hzで試験) |
2 |
ノートブックパソコン |
14.1型、15.4型、 |
100V ACアダプター
(60Hzで試験) |
2 |
デスクトップパソコン |
17型、20型、テレビ録画機能付き |
100V (60Hzで試験) |
3 |
ミニコンポ |
MD/DVD/CD/SD/カセット |
100V (60Hzで試験) |
2 |
事務所用蛍光灯器具富士形
インバータ式 |
電圧フリー(100V〜254V、50/60Hz)、
ランプフリー2灯 |
200V (60Hzで試験) |
2 |
事務所用蛍光灯器具富士形
銅鉄式 |
ラピッドスタート式、200V 60Hz、FLR40 2灯 |
200V (60Hzで試験) |
2 |
住宅用LED壁埋込形
照明器具 |
100V、50/60Hz、2W |
100V (60Hzで試験) |
1 |
住宅用LEDスポットライト |
防雨形 100V 50/60Hz 7W |
100V (60Hzで試験) |
1 |
蛍光灯卓上スタンド |
インバータ式 可搬式 据置式、100V 50/60Hz FPL27:1灯 |
100V (60Hzで試験) |
3 |
住宅用蛍光灯器具
シーリングライト |
インバータ式 100V 50/60Hz |
100V (60Hzで試験) |
2 |
住宅用蛍光灯器具
ペンダントインバータ式 |
100V 50/60Hz 2灯 |
100V (60Hzで試験) |
2 |
住宅用蛍光灯器具ペンダント
銅鉄式 |
100V 60Hz 2灯 |
100V (60Hzで試験) |
2 |
据置き型ゲーム機 |
据置き型 |
100V ACアダプター
(60Hzで試験) |
1 |
ポータブルゲーム機 |
携帯型 |
100V ACアダプター
(60Hzで試験) |
1 |
|
|
3−2 測定周波数範囲 |
|
測定周波数範囲は、IEC62233で磁界の測定方法を具体的に規定している10Hzから400kHzとした。 |
| 4.測定方法 |
|
4−1 使用測定器 |
|
今回の測定は国際的な合意に基づく国際規格IEC62233に規定された標準測定法である「時間領域評価法」の
仕様に適合する測定器として、Narda Safety Test Solutions GmbH社製ELT-400磁界測定器を使用した。ELT-400の仕様を表2に、
外観を写真1に示す。 |
|
〔表2〕Narda Safety Test Solutions GmbH社製ELT-400磁界測定器仕様
型番 |
ELT-400 |
|
標準付属プローブ |
等方性 磁界プローブ(コイル・100cm2) |
周波数帯域 |
10Hz 〜 400kHz |
測定レンジ |
60nT〜80mT |
センサダメージレベル |
〜160mT 77.5Hzを超えると線形的に減少 |
表示分解能 |
1nT |
確度 |
10Hz〜120kHz:±4.0%、
120kHz〜400kHz:±8.8% |
ダイナミックレンジ |
60dB |
検波方式 |
RMS Peak |
外部出力 |
アナログ出力(リアルタイム) RS232 |
電源・動作時間 |
NiMHリチャージブル(4個)
動作時間:12時間 |
重量 |
約1kg |
オプション |
3p2磁界プローブ |
〔写真1〕
Narda Safety Test Solutions GmbH 社製
ELT-400磁界測定器外観
|
|
|
4−2 測 定 |
| |
(1) |
測定位置 |
|
|
1) IEC62233 に記載があるもの:基本的にIEC62233 による。測定位置の製品毎の一覧表を表3に示す。
|
|
|
〔表3〕 IEC62233 に測定条件が記載されている製品
製品名
|
測定方向
|
測定距離
|
動 作 条 件
|
IH炊飯器 |
全周囲 |
30cm |
水を半分だけ入れ、最高温度設定。 |
IH調理器 |
水平全周囲
(図―2参照)
|
30cm |
水道水を半分ほど満たしたほうろう製調理容器(オールメタルIHは銅、アルミ製も使用する)を、
測定対象となる調理ゾーンの中央に配置する。
説明書で推奨されている、最小の容器を使用する。推奨容器が指定されていない場合は、表示された調理ゾーンを覆う
最も小さい標準容器を使用する。標準調理容器の底の直径は、110o、145o、180o、210o及び300oである。(現機種に使用できる鍋の
最小直径は、ほうろう製120o、銅、アルミ製150o)
IHは他の調理ゾーンにかからないように順番に運転する。火力調整装置の設定は最高。測定は安定した運転条件に達してから行う
(沸騰)。
|
空気清浄機 |
全周囲 |
30cm |
連続(イオン放出有無の違いを確認) |
シェーバー |
刃の面 |
0cm |
無負荷で連続。 |
食器洗い乾燥機 |
正面、上面、 |
30cm |
洗浄モード、できれば乾燥モードで、皿を入れずに注水する。 |
電気カーペット |
上面
(人が接する面)
|
0cm(IECは30cmであるが、日本の使用実態を採用) |
断熱シートの上に広げて置く。 |
電気洗濯機 |
正面、上面、 |
30cm |
布を入れずに最高速度の回転モード。洗濯乾燥機は次の回転式乾燥機の条件でも測定。事前に洗ってある、寸法が約0.7m × 0.7m、
乾燥状態での質量が140g/m2〜175g/m2の縁が2枚重ねになった木綿シーツを、布乾燥モード。
|
電気掃除機 |
全周囲 |
30cm |
IEC60335-2-2の3.1.9の規定による。(動作開始20秒後に、吸込口を閉塞しない状態と閉塞した状態の
平均電力になるように吸込口を調節して連続動作)
|
電気マッサージ器 |
ヘッド部分 |
0cm |
無負荷で連続、最高速度設定 |
電気毛布 |
上面(人が接する面) |
0cm |
断熱シートの上に広げて置く。 |
電気冷蔵庫 |
正面、上面、 |
30cm |
ドアを閉めて連続。サーモスタットは最高冷却状態に設定。キャビネットは空にする。
測定は安定状態に達してから行う。 |
電子レンジ |
全周囲 |
30cm |
マイクロ波出力を最大にして連続。通常の発熱体(ヒータ)を利用している場合は、
最高の設定にして同時運転する。負荷は1リットルの水道水を庫内の中心に置く。水を入れる容器はガラス、プラスチックなど
非導電性の材料製でなければならない。 |
ヘアドライヤー |
全周囲 |
10cm |
連続、最高温度設定。 |
ルームエアコン |
全周囲 |
30cm |
暖房:最高温度設定及び周囲温度は15±5℃。
周囲温度は室内機への通気温度。
|
|
|
|
2) IEC62233 に記載がないもの:通常の使用状態を想定し、IEC62233 に記載された類似の製品を参考にして表4のように決定した。 |
|
|
〔表4〕 IEC62233 に測定条件が記載されていない製品
製品名
|
測定方法 |
測定距離 |
動作条件 |
電気こたつ |
全周囲 |
0cm |
温度設定最高で連続動作。 |
電気ポット |
全周囲 |
30cm |
水を半分だけ入れる。 |
HDD/DVDレコーダ |
全周囲 |
前面:0cm、30cm
他: 30cm
|
カラーバー録画またはダウンコンバートしながらDVDへのダビング。 |
CRTカラーテレビジョン
|
全周囲 |
30cm |
カラーバー表示。
出荷時初期設定。
|
| 液晶カラーテレビジョン |
| プラズマカラーテレビジョン |
ノートブックパソコン |
全周囲 |
底面とキーボード部:
0cm、30cm
他: 30cm
|
ディスプレイ、HDDへの連続。
H文字表示(書き込み)。
CD再生(CD-ROM有りの場合)。
|
デスクトップパソコン |
全周囲 |
前面:0cm、30cm
他: 30cm
前面とはCD-ROM等のドライブ面
|
ディスプレイ、HDDへの連続。
H文字表示(書き込み)。
CD再生(CD-ROM有りの場合)。
ディスプレイは設定後取り外す。
|
ミニコンポ |
全周囲 |
前面: 0cm、30cm
他: 30cm
|
CDからMDへのダビングと音声再生。
|
事務所用蛍光灯器具富士形インバータ式
|
全周囲 |
30cm |
・電源電圧…
定格電圧、定格周波数とする。但し、インバータ式は、電源電圧フリーであるが、銅鉄式に合わせて「200V、60Hz」とする。
・点灯条件…
連続点灯(連続動作)、なお、調光できるものは、全光(フル点灯)状態とする。
・使用ランプ…
インバータ式はランプフリーであるが、ランプは高周波点灯専用形ランプを用いる。
|
事務所用蛍光灯器具富士型
銅鉄式 |
住宅用LED壁埋込形
照明器具
|
全周囲 |
30cm |
・点灯条件…
連続点灯(連続動作)、なお、調光できるものは、全光(フル点灯)状態とする。
|
| 住宅用LEDスポットライト |
蛍光灯卓上スタンド |
全周囲 |
30cm |
・点灯条件…
連続点灯(連続動作)、なお、調光できるものは、全光(フル点灯)状態とする。
|
住宅用蛍光灯器具
シーリングライト
|
全周囲 |
30cm |
・点灯条件…
連続点灯(連続動作)、なお、調光できるものは、全光(フル点灯)状態とする。
|
住宅用蛍光灯器具
ペンダント
インバータ式
|
全周囲 |
30cm |
・点灯条件…
連続点灯(連続動作)、なお、調光できるものは、全光(フル点灯)状態とする。
|
住宅用蛍光灯器具
ペンダント銅鉄式 |
据置き型ゲーム機 |
全周囲 |
前面操作部:0cm、30cm
他: 30cm
|
DVDゲームソフトを再生する。 |
ポータブルゲーム機 |
全周囲 |
0cm |
ディスクゲームソフトを再生する。
アクセスポイントにアクセスする。
|
|
|
(2)測定位置の決定方法 |
|
磁束密度は機器からの距離により大きく変化するので、測定位置の決め方は測定値の再現性の面からみて極めて重要である。
測定方向は、図1のように機器の外郭に接する仮想的な立方体の
・全周囲…正面、右側面、後面、左側面、上面、下面、のすべての面
・水平全周囲…正面、右側面、後面、左側面、の4方向
とし、各面から垂直方向に測定する。ここで「正面」とは通常使用状態における機器の前面とする。
IH調理器の測定位置はIEC62233を参照し、図2に示す通りとする。
照明器具の場合「正面」とは、定格表示のある方向(事務所用蛍光灯器具富士形の場合は図3による)、「上面」とは通常使用状態における上面とする。
|
|

〔図2〕 IH調理器(組込み型)の測定位置
調理器のベースから30p離れた点で測定する |
〔図3〕 事務所用蛍光灯器具富士形の場合の「正面」 |
|
|
4−3 測定手順 |
|
1) |
表3および表4に規定された測定方向と距離において、標準付属プローブを用いExposure STDモードで測定する。 |
|
2) |
センサは規定された方向において機器の表面に平行な面内を移動させ、最大値を示す位置で固定する。
ただし、シェーバー等の距離が0pで規定されている機器の場合、センサは機器に密着状態で移動する。 |
|
3) |
いずれの測定においても測定値に若干の時間的な変動があるため、表示モードを「Max Hold」モードとして測定
値を記録する。 |
|
4) |
局所に集中した磁界分布の場合は、必要に応じて結合係数を評価するための磁界分布をオプションの3p2プローブで測定し、
結合係数を決定する。 |
| 5.IEC規格とICNIRPガイドラインの関係について |
電磁界による人体ばく露に関しては、リスク評価はWHO、制限値設定(ガイドライン)は ICNIRP、機器からの電磁界の測定評価はIEC、と課題を分担して国際的な取組みが行われている。リスク評価は、 WHOによって各国の研究者が協調して国際電磁界プロジェクト(The International EMF Project)注1) を進め、電磁界に対する啓発注2) を行うとともに、100 kHz以下のELFに対してのEHC(Extremely Low Frequency Fields Environmental Health Criteria Monograph)(ELFのEHC)注3)を作成しており、 平成19年(2007年)6月に見直し版が発行されている。制限値設定は、国際電磁界プロジェクトと協調して活動しているICNIRPから科学的根拠に基づいたガイドライン注4) が平成10年(1998年)に発行されている。
このガイドラインは、低い周波数帯に対して、人体への刺激性の作用が主体であるとして、 人体内の頭部および体幹における電流密度の限度値を、守るべき基本制限として設定している。 この基本制限を直接測定することが困難であることから、測定可能な物理量である電界および磁界を参考レベルとして設定している。 この参考レベルは、均一な電磁界で、人体との結合が最大となる全身へのばく露の条件によって導出している。 一方、機器からの電磁界は、均一ではなく機器から離れるに従い急激に減少することから、人体に対してのばく露は局所的である。 このような不均一な電磁界の場合は、人体との結合が小さくなるため、全身へのばく露の条件に比べて誘導される電流密度が小さくなる。 このことから測定値が参考レベルを超えても、必ずしも基本制限を超えたことにはならない。
このように、電磁界の人体ばく露は、電磁界の測定値だけでは評価できない。そこで、電磁界の人体ばく露を評価するための測定センサの仕様、 測定方法、体内誘導量の計算方法、および基本制限への適合判定方法などの標準化を目的として、 IECに技術委員会TC106が設置された。TC106では、基本的な電磁界の特性評価、測定方法、計算方法などをまとめた基本規格、 及び個別の電磁界発生源からの人体ばく露評価を行う製品群規格のそれぞれが検討されている。 いわゆる白物家電と呼ばれる家庭用電気機器を対象とした規格は、国際規格としてIEC 62233 (Measurement methods for electromagnetic fields of household appliances and Similar apparatus with regard to human exposure)が 平成17年(2005年)に制定された。なお、IEC 62233が対象としていない機器に対しては、 IEC 62311 (Assessment of electronic And electrical equipment related to human exposure restrictions for electromagnetic fields (0 Hz - 300 GHz))がTC106で審議されている。この規格については、最終国際規格案(106/129/FDIS)への投票(平成19年(2007年)7月)の結果、 制定の承認が得られIEC規格として発行準備中の状況である。
これらの規格では、機器からの磁界放出の不均一性を考慮した係数、「結合係数」を導入して、磁界の測定値を補正する評価方法の標準化を行っている。 また、参考レベルが周波数によって異なることから、複数の周波数の磁界を放射する機器は、測定した磁界を参考レベルと直接照合してガイドラインへの適合判定ができない。 このことから、これらの規格では、参考レベルの周波数依存をなくすために、周波数に対して重み付けを行う測定方法 (時間領域評価法)を規格化している。この場合、測定値は参考レベルに対しての比率となる。
このような背景から、本報告では、時間領域評価法による測定を行い、結合係数を織り込んだ値を測定結果としている。
なお、IEC62233ではガイドラインへの適合判定の手順として、時間領域評価法の結果が「1(100%)」を超えていなければ無条件で適合、 「1」を超えた場合には結合係数を乗じて「1」を超えなければ適合としている。さらに、結合係数を織り込んで不適合であっても、 さらに厳密な体内誘導電流の計算を行うことによって、ガイドラインの基本制限を超えていなければ、ガイドラインに適合と判定できる、としている。
|
| |
注1) |
<http://www.who.int/peh-emf/project/en/>で国際電磁界プロジェクトの活動を公開している。 |
| |
2) |
<http://www.who.int/peh-emf/about/WhatisEMF/en/>で電磁界と人体について、電磁界の発生要因、電磁界の人体への作用、
ICNIRPのガイドラインの趣旨、などについて解りやすい解説が入手できる。 |
| |
3) |
<http://www.who.int/peh-emf/publications/elf_ehc/en/index.html>で環境基準の入手ができる。 この基準の第13章(PROTECTIVE MEASURES)の13.3.1(Emission and exposure standards)にて、制限値のガイドの設定を行うICNIRPガイドラインと、 機器からの電磁界放射の測定評価の方法を規定するIEC規格の分担について説明を行い、国際的な合意を得た制限値と評価方法の採用を推奨(勧告)している。 |
| |
4) |
<http://wwwsoc.nii.ac.jp/jhps/nonioniz/icnirp.html>でガイドライン日本語訳の入手ができる。 |
| 6.測定結果 |
| |
6−1 電磁波測定状況写真 |
| |
電磁波測定状況の代表例を、写真2、写真3、写真4に示す。 |
〔写真2〕IH調理器の測定 |
〔写真3〕家庭用テレビの測定 |
〔写真4〕照明器具の測定 |
|
| |
6−2 測定結果 |
| |
家電製品から発せられる磁界は、基本周波数としての商用周波数とその高調波、インバータ応用機器は、
これらの周波数に加えてインバータの基本周波数数十kHzとその高調波が含まれる。今回の測定は、「5.IEC規格とICNIRPガイドラインの
関係について」で説明したように、広帯域の周波数(10Hz〜400kHz)の磁界を総合的に評価する「時間領域評価法」を用いて、
ICNIRPのガイドラインへの適合判定をIEC62233の規定に基づいて行った。この結果、測定した全ての家電製品で、このガイドラインを
適合している結果が得られた。なお、家電製品から発する不均一な磁界を均一な磁界に換算する「結合係数」を使用した。
家電製品個別の状況は次の通りである。 |
| |
(1) |
IH 炊飯器 |
| |
|
IH 炊飯器は、商用電源周波数と高周波の加熱周波数(20kHz〜50kHz)、およびそれらの高調波の周波数である。
本製品からの磁界強度の評価は、いずれもガイドラインに適合している結果であった。 |
| |
(2) |
IH 調理器 |
| |
|
IH調理器の発生する磁界の周波数は、高周波の加熱周波数(20kHz〜100kHzの基本波およびその高調波)と、
商用電源周波数とその高調波である。磁界強度の評価は、いずれもガイドラインに適合している結果であった。 |
| |
(3) |
電子レンジ |
| |
|
電子レンジは、マイクロ波(2.45GHz)を発生させるマグネトロンを駆動する電源に商用電源を使用している機器と、
数十kHzの高周波を使用している機器がある。磁界強度の評価は、これらの機器全てガイドラインに適合している結果であった。
なお、電子レンジのマイクロ波の周波数帯は今回の測定対象に含まれていないが、マイクロ波の漏洩については、
電気用品安全法あるいは電波法により規制の対象となっており、ICNIRP のガイドラインと同等の値を超えないように措置さている。 |
| |
(4) |
その他の家電製品 |
| |
|
その他のさまざまな家電製品は、商用電源周波数とその高調波成分からの電磁波であり、磁界強度の評価は、
いずれもガイドラインに適合している結果であった。 |
| |
(5) |
家庭用テレビ |
| |
|
CRT カラーテレビジョン、液晶カラーテレビジョン、プラズマテレビジョンからの磁界強度の評価はいずれもガイドラインに
適合している結果であった。
なお、CRT カラーテレビジョンの場合、機器の下面で他の方向より大きな数値が見られるが、この場合の主たる発生源はフライバックトランスであり、その周波数は商用電源周波数とその高調波である。 |
| |
(6) |
パソコン |
| |
|
ノートブックパソコン、デスクトップパソコン、およびノートブックパソコンに使用されているAC アダプターとも
測定対象機器からの磁界は十分に小さく、磁界強度の評価は、いずれもガイドラインに適合している結果であった。 |
| |
(7) |
各種AV 機器 |
| |
|
これらの機器の消費電力が小さいことから予想されるように、磁界の漏洩は非常に小さい。なお、スピーカーでは
オーディオ周波数(この場合は試験信号の1 kHz)の磁界を発生するが、その漏洩は微弱である。磁界強度の評価は、
いずれもガイドラインに適合している結果であった。 |
| |
(8) |
ゲーム機 |
| |
|
各種デジタル家電、情報機器と同様に、測定対象機器からの磁界は十分に小さく、磁界強度の評価は、
いずれもガイドラインに適合している結果であった。
|
| |
(9) |
照明器具 |
| |
|
さまざまな照明器具からの漏洩磁界は十分に小さく、磁界強度の評価は、いずれもガイドラインに適合している結果であった。
|
| |
6−3 測定結果のまとめ |
| |
本測定調査で選定され、測定された家電製品、デジタル家電、情報機器および照明器具では、
IEC62233 による方法に基づいた評価の結果、ICNIRPのガイドラインを超える機器は見られなかった。
表5に、製品別ICNIRPガイドライン値に対するIEC測定結果を示す。 |
◆ 家電製品から発せられる電磁波検討ワーキンググループ 委員名簿
|
| ○ 技術関連委員会(敬称略) |
委員長 |
小島 弘文(ソニー) |
| |
|
副委員長 |
松野 雄史(三菱電機) |
| |
|
〃 |
篠塚 重治(日立アプライアンス) |
| ○ 家電製品から発せられる電磁波検討ワーキンググループ(順不同、敬称略) |
| |
主 査 |
菅原 作雄(三菱電機) |
| |
委 員 |
永関 雅史(三洋電機)、佐藤 征二(シャープ)、元日田 融(ソニー) |
| |
|
田中 照也(東芝家電製造)、庄子 哲也(日立アプライアンス)、
宮田 豊 (松下電器) |
| |
|
水野 重徳(電子情報技術産業協会・リコー)、神谷 文夫(日本照明器具工業会) |
| |
|
横田 等 (電子情報技術産業協会・日立製作所)、中野 美隆(日本電機工業会) |
| |
|
布川 貴浩(日本冷凍空調工業会)、山下 洋治(電気安全環境研究所)
福本 祐一(日本品質保証機構) |
| |
オブザーバー |
多氣 昌生(首都大学東京大学院教授) |
| |
|
武田 英孝(経済産業省商務情報政策局情報通信機器課課長補佐) |
| |
|
安田 大輔(経済産業省商務情報政策局情報通信機器課係長) |
| |
|
野田 臣光(日本電機工業会・東芝家電製造)
佐々木弘真(電子情報技術産業協会・松下電器) |
| |
|
豊島 修次(電子情報技術産業協会・日立製作所) |
| |
|
中尾 弘治(電子情報技術産業協会) |
| |
事務局 |
上浦 明 (家電製品協会) |